精鋭の技術。
たとえば家庭や会社であたり前のように使われている電気。この電気が必要な時に、必要な量だけ確実に各所に届くために電力制御システムが不可欠となる。また産業用ロボットを動かすシステム、工場の生産ラインをコントロールするシステム、火力発電所を制御するシステムなどにもJCEの制御系システムが導入されている。国内に数千社あるといわれるソフトウエアハウスの中で、制御系を手掛けているのは10%にも満たないと見られている。それは制御系システムエンジニアに求められるスキルが高く、育成も一般的な業務系エンジニアと比べて数倍の年月がかかるためだ。JCEのシステムエンジニアはプログラミングの技術はもちろん、クライアント(顧客)と「システムを通じて何を実現するのか」という打ち合わせから、システム全体図の作成、基本設計、プログラミングまでを請け負う場合が多い。いわゆる上流工程と呼ばれるフェーズからプロジェクトに参画するため、クライアントのシステム担当者をはじめ、各機能セクションのエンジニアなど多い時には100人を超えるエンジニアが集結し、一つのシステムをゼロから構築していくことも珍しくない。そのためJCEのエンジニアには、他部署とのコミュニケーション能力や協調する能力、解決への発想力、提案力など多角的にエンジニアとしての技量が求められる。一人ひとりが高度なプログラミング技術だけではなく、総合的かつ豊富な経験値を活かしながら社会インフラを支える、それがJCEの精鋭の技術である。
電力系統制御システム
電力系統制御システムとは、工場や一般家庭などへ送られる電気の流れを監視し、制御する基幹システム。たとえば電気の使用量に応じて発電量を決定し、安定して届けることや、事故などで停電した場合に、速やかに迂回ルートに切り替えて停電の範囲を最小限度にとどめるのも制御システムの役目となる。その他にも、配電線や設備の経年劣化による工事などを行う場合、工事区間以外への電気供給を閉ざすことなく、司令室による遠隔操作で現場の作業時間を減らし、停電時間を減らす役割なども担っている。JCEが創業当初から担ってきたコア技術であり、エンジニアとして電力インフラを支えて来た誇るべき技術である。
鉄道電力制御システム
鉄道会社が保有している、電車に電源を供給するための『変電所』を一括で管理、制御するためのシステム。各変電所の設備状態の監視制御や、始発前の列車に電源供給を自動で行い、終電後には自動解放するスケジュール制御などがこれにあたる。さらには、終電後の保守点検作業を管理する作業制御や、中央指令所や各変電所に配置されたサーバの故障監視など、さまざまな機能を持つ高度な鉄道電力制御システムをJCEが担っている。電力系統制御システムなど他システムの開発で得たノウハウをベースに、ソフトウエア開発の技術だけでなく、電車や電力系統に対する幅広い知識が求められている。
車載ECU診断システム
車載ECUの診断機能。これはディーラーでのメンテナンス時に使用する機能で、車両ネットワークに接続し、車両の故障情報や設定情報の読み出しや設定情報の更新を行う。本機能によってエンドユーザーの購入オプションに従ってバックカメラやスピーカーなどの設定が容易になるほか、故障時にいち早く故障箇所を特定することが可能となる。JCEはソフトウエアとハードウエアを組み合わせての試験まで従事。当社はこれまで15年以上にわたり従事しているため過去機種のノウハウもあり、素早く安定した機能設計を実現。診断機能は工場やディーラーで使われるため、100万台を超える車両に自分達が開発した機能が搭載されることになる。
シーケンサとエッジコンピューティング技術の開発
シーケンサとは「工場などの生産現場において、機械の自動制御や情報収集を目的として動作する装置」のこと。近年の、生産・インフラのIoT化を進めるうえで、シーケンサは必要不可欠な要素となっている。JCEは上記のシーケンサと「エッジコンピューティング技術」とを組み合わせたシステムの開発を担当。エッジコンピューティングは、シーケンサからの情報をリアルタイムに「収集・診断・フィードバック」することにより、異常やトラブル発生の予兆を事前に検知し、生産性や品質の向上につなげることを目的としている。当社は専門性の高いシーケンサの知識から、エッジコンピューティングに用いられているAIの知識など、幅広い分野に対応しており、チームとしての成果を上げられる点が評価されている。
スマートメーター
近年では、各家庭の使用電力量は検針員による検針不要で、検針データが自動で送信される『スマートメーター』の普及率が高まっている。JCEではスマートメーターから送信されたデータを受信するシステム、および統計・分析するシステムを開発。『スマートメーター』が普及することでエリアごとのピーク電力需要を正確に分析でき、電力会社は変電所や電線の増築を検討したり、災害時でも営業しているコンビニなどの特定や、停電で機能を停止している病院の早期発見などが考えられている。さらに平時であれば、使用電力量などのデータをリアルタイムに配信することで、高齢者や在宅患者の見守りサービス等、離れた家族に対して安否確認などの活用も考えられている。
STAFF VOICE
- 河野 弘樹 2011年4月入社
大阪大学大学院 情報科学研究科 修了
ソフトウエア開発の技術だけではなく、
関連する幅広い知識が求められます。
JCEが手掛ける制御システムは、どのシステムも社会基盤を構成するものであり、24時間365日停止することなく動作することが期待されています。システムの開発では、エンドユーザーがシステムに期待する動作は何か、どういったときに利用するのか、そういったことを考えて開発を進めていきます。例えば災害などで停電が発生した場合、速やかに電力の迂回ルートを算出し、停電範囲を最小限にとどめたり、また、停電が発生したことをシステムが検知した場合にアプリなどから停電発生、復旧状況などを閲覧できるシステムなども手掛けています。どのシステムも一つのミスで社会に多大な影響を与える可能性があり、時には現場作業員の命を脅かすシステムにもなりえます。これらを未然に防ぐために、私たちはシステムのことを熟知しソフトウエア技術を磨いていかなければなりません。また単純にソフトウエア開発の技術だけではなく、該当する制御システムに関連する幅広い知識が求められるため、常に勉強して知識を得ていかなければなりません。技術と経験が評価される仕事だからこそ、お客さまからの要望を踏まえた上でさらに良いものを提案するときや、私たちが開発したシステムを実際にお客さまが使用し、その生活や仕事にいい影響を与えていると実感できたときの喜びは大きなものがあります。